複式簿記の売掛帳のつけかた

 

複式帳簿の預金出納帳の記帳方法(1)

事業を営んで、帳簿を付ける中で楽しく感じるのが売上を記帳しているときではないでしょうか。
しかし、楽しいばかりでは済まされないのが帳簿ですから、正確に全ての取引を帳簿に記帳しなくてはなりません。
そのためには、売上の中身を知っておく必要がありますので、このページでそのあたりをしっかりと覚えてください。

 

売掛帳の記帳方法

商品が売れたときや仕事をした対価として受け取るのが簿記の世界で言う『売上』だと言う事は、誰でも知っていることです。
しかし、簿記の中では、売上と呼ぶものにも二通りの意味があります。
一つは、商品対価として受け取る「現金」で、もう一つが支払い期日が先のものです。

 

ここで紹介する『売掛帳』とは、後者の取引を記帳しておく帳簿で、『仕分帳』『総勘定元帳』の補助簿の一つです。
売掛金を計上するタイミングは、請求書の発行日を売掛金発生日として記帳します。
例えば、商品を4月1日に納品してその商品代金の請求書を4月21日に発行したとすると、売掛金の発生日は4月21日として記帳します。
このような取引を一般的には「掛売り」と言います。
この掛売りによる取引は、会社相手の取引などでは一般的で、小売店などのように現金で取引されることのほうが少ないと言えるでしょう。

 

それでは、『売掛帳』の記帳方法をお話したいと思いますので、下の売掛帳記帳例をご覧ください。

 

複式帳簿の売掛帳の記帳方法(1)

 

売掛帳の一般的な記帳例をご覧いただきましたが、これはあくまで売掛であって、商品やサービスを提供しただけで代金の支払いを受けていない場合や後日支払いを受けたことを記帳しています。
こんなことを改めて書かなくても、ご覧いただいただけでご理解いただけていると思います。

 

この中で売掛金となっているのは、黄色でマークしている部分になります。
売掛金が発生したら、そのときに仕分帳に記帳し、総勘定元帳にも記帳して、最後に売掛帳に記帳します。
売掛金が発生したら、その金額を加えて残高に記帳してください。
この時点では、帳簿上売上が上がっただけでまだ代金の回収は出来ていません。

 

 

それでは次に、売掛金を回収したときの記帳についてお話しましょう。
売掛金を回収したときの記帳例は、ピンクでマークしたところになります。

 

ご覧のように、回収した場合は、残高からその金額を引いて残高に記帳します。
このとき注目していただきたいのが「相手方勘定科目」の欄に「諸口(しょくち)」と書かれているところなのですが、これは複数の取引と言う意味で記帳する勘定科目になります。
例えば、該当月内の取引で得られた売上が複数の場合に該当月分をまとめた金額を書込むときに使います。
簡単な例で言うと、株式会社○○と言う会社にA・B・Cなど複数の商品を納入した代金として該当月に支払いを受けたときなどに、一つずつ商品金額を書くと帳簿が煩雑になり、肝心なお金の動きが見辛くなってしまうのでそのような場合に「諸口」と表記します。
ですから、「諸口」と記帳されている場合は、その中に複数の取引があると考えてください。

 

これで『売掛帳』の記帳も終わりですが、ここでも売掛帳に記帳する前に『仕分帳』と『総勘定元帳』への記帳が必要なのがお解かりいただけると思いますが、このほかに集金により現金で売掛金を回収した場合には、『現金出納帳』への記帳も必要ですし、振込みでの回収なら『預金出納帳』への記帳が必要です。
このように『売掛帳』一つ記帳するだけでも他の帳簿への記帳が必要ですから、自ずと記帳に掛かる時間も長くなるものです。
ですから、取引が多ければ多いほど、記帳作業にかかる時間は長くなってしまうと言う事ですが、再三申し上げているように、帳簿への記帳は大切ですが、その作業ではほとんど利益を生まない不毛な作業だと言えるものだと思いませんか。
ですからクラウド会計などを使って出来るだけこんな時間を短縮してほかの事に貴重な時間を割いてください。

 

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