電気工事業者の義務と責務

電気工事業者の義務と責務
電気工事業者に課せられる責任は、とても重いものです。
社会基盤を支える電気の安定供給と安全を担う上で当然といえば当然のことですが、各種法令により使用材料から電気工事資格などが細かく規定されています。

 

このページでは、電気工事業者としての義務と責務について書かせていただきます。

 

登録表示なども掲載していますのでご覧ください。

主任電気工事士の選任

電気工事業者は、電気工事業法の定める義務と責務を有することになります。

 

登録電気工事業者として電気工事を行うとき、必ず主任電気工事士を選任しなくてはなりません。
この主任電気工事士は、1営業所ごとに1名の選任が義務付けられており、例えば他の都道府県に複数の事業所を持つ場合、その事業所ごとに主任電気工事士を選任しなくてはなりません。

 

主任電気工事士の資格については、
電気工事業者登録電気工事業者登録と更新の各ぺーじで説明しましたので省かせていただきますが、主任電気工事士の選任に関しては、【電気工事業法第19号1項】に規定されてあるので、必ず守ってください。

 

尚、主任電気工事士は、電気工事全般に関して監督、指導の責務を負っていおり、作業員の安全と電気工事の適正化に勤めることが義務付けられています。

 

また、当該電気工事従事者は、主任電気工事士の指示に従い、誠実に当該電気工事を行わなくてはなりません。
「俺、あの主任嫌いだから・・・」
などと言うのは、許されないので気をつけてください。

 

電気工事業者 器具の備付け

電気工事業を営むとき、登録する電気工事の範囲により、必ず備付けなければならないものがあります。

 

電気工事業者登録の際にも器具備付け明細書というものがあったと思いますが、一般用電気工作物及び自家用電気工作物の各登録で、備付け器具が異なるので、下記に示す最低限の器具は備付けてください。

 

一般用電気工作物の電気工事のみを行う場合

  1. 絶縁抵抗計
  2. 接地抵抗計
  3. 交流電流及び抵抗測定用回路計
①絶縁抵抗計 ②接地抵抗計 ③AC/DC電流測定用
日置電機IR4051-10絶縁抵抗計のリンク画像です。
日置電機(HIOKI) IR4051-10
共立電気計器KEW4105DLデジタル接地抵抗計のリンク画像です。
共立電気計器 4105DL
共立電気計器2046R、AC/DC電流測定用クランプメータのリンク画像です。
共立電気計器 2046R

 

自家用電気工作物及び一般電気工作物の電気工事を行う場合

  1. 絶縁抵抗計
  2. 接地抵抗計
  3. 交流電流及び抵抗測定用回路計
  4. 低圧検電器
  5. 高圧検電器
  6. 継電器試験装置 (必要な時に使用し得る措置が講じられているものを含む)
  7. 絶縁耐力試験装置(必要な時に使用し得る措置が講じられているものを含む)
④低圧検電器 ⑤高圧検電器
共立電気計器DX-04低圧用検電器のリンク画像です。
共立電気計器 DX-04
共立電気計器5720伸縮式高低圧用検電器のリンク画像です。
共立電気計器KEW5720

 

※⑤⑥⑦に関しては、高圧受電用測定機器になります。

 

これらの器具備付けに関しても、【電気工事業法第24条規則第11条】にて規定されているので、必ず備付けるようにしてください。

 

電気工事業者 標識提示の義務

電気工事業を営む事業所及び電気工事施工現場には、登録電気工事業者票または登録電気工事業者届出済票を見やすい位置に提示しなくてはなりません。

 

建築現場などでよく見かける、白いプラスチック製の標示板です。

 

設計事務所や建築会社、労災認定などと並んで、電気工事業者票も並んでると思います。
建売住宅や一般住宅などの現場では、提示されていない場合もありますが、電気工事業法上では、違法行為という事になります。

 

下記に、内容等を示したものを掲載しておきますので、参考にしてください。

 

登録電気工事業者
第二種電気工事士

 

みなし電気工事業者
第二種電気工事士

 

このように電気工事を行う事業所の詳細を記入するようになっているので、もれなく記入して工事現場や事業所の入口などの見えやすいところに提示してください。

 

最近はAmazonで登録票も販売されてるので必要な方は、ご覧ください。

法令表示板、登録電気工事業者登録票HA22のリンク画像です。

登録電気工事業者登録票
法令表示板

アクリル板のほかに金属板や強化ガラス製など、いろいろあるので好みのものを選んでください。
最初はアクリル板からスタートして、会社の発展と共に金属製や強化ガラス製のものにステップアップさせるのも、いいんじゃないでしょうか。

 

※みなし電気工事業者とは
登録電気工事業者が建設業法による建設業許可を受けたときに、みなし電気工事業者となり、登録電気工事業者登録証の返納とともに、みなし電気工事業者の登録手続を行わなくてはなりません。
尚、登録電気工事業者の廃止届けは不要です。

 

登録電気工事業者、みなし電気工事業者は、電気工事士として電気工事会社に勤務したのちに独立開業するときに、多く登録されるものですが、
このほかに、

 

●自家用電気工作物のみの電気工事を行う

  • 通知電気工事業者
  • みなし通知電気工事業者

があり、いずれも事業開始10日前までに届出を行わなくてはなりません。

 

尚、この登録標識は電気関係の組合でも取り扱っているところがあるようなので、所属の電気工事関連の組合に問合せてみてもいいかもしれません。

 

電気工事用品使用制限

電気工事におけるケーブルをはじめとするさまざまな使用材料は、【電気用品安全法第10条第1項】の表示のあるものしか使用できません。

 

これも全て、電気の安全と安定供給を目的として規定されているものです。
現在、市場に出回っている材料に関しては、ほぼ全てこの規定をクリアしているので、特に気にする必要はないと思います。

 

電気工事に関する帳簿の備付け

電気工事業を営み、行った電気工事ごとに帳簿に記載し、5年間それを保管するよう求められています。

 

これは、電気工事の適正化を図る上で、電気事故が起こったときの原因究明と責任の所在をハッキリさせるものです。
通常、使用するものではありませんが、しっかりと記録・保管してください。

 

記載内容は下記に示すもの

  • 発注者の氏名もしくは、名称及び所在地
  • 施工年月日
  • 電気工事の種類
  • 主任電気工事士及び作業者の氏名
  • 配線図及び盤結線図
  • 検査結果

この内容は、電力会社への引込み申請時に提出する、施工証明書と同じなので、これをファイルしておけばOKです。

 

このほか電気工事に関して、『その作業に資格を有しないものを従事させてはならない。』などの規定があるが、これは電気工事業者としては当然のことです。

 

無資格者による電気工事を黙認した場合、その電気工事を請け負った電気工事業者に対して行政処分などの厳しい措置がとられますので注意ください。
資格確認は厳正にという事です。

 

 

第二種電気工事士
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