実践 電気工事 接地線の選定方法
この表記は、景品表示法の通称ステマ規制に基づいて記載しています。
簡単な接地線の選定方法
電気工事における、接地工事の重要性と、その測定方法を紹介しましたが、
いかがでしたか?
接地工事は、漏電などによる感電事故を防ぐのが目的ですから、接地工事の対象となる機器に見合った接地工事を行わなくては意味がありません。
それと共に適切な接地線の選定も重要な要素ですから電気工事士のみなさんは、適切に接地線を選定されていると思います。
しかし、中には誤った知識で接地線を選定している方も居られるようですので、ここで接地線の選定方法を紹介しておきたいと思います。
接地(アース)線の簡単な選定方法
電気工事士のみなさんは、
電気工事士試験受験時に接地抵抗について勉強されたと思います。
当然、その重要性も認識なさってると思いますが、先に述べた接地の種類や接地抵抗計の使い方などを間違うと受電できないこともありますし、思わぬ感電事故などを引き起こすことにもなりかねません。
ですから、接地工事の方法も正しく認識し、適切な工事方法や材料を用いて、求められる接地抵抗値を出さなくてはなりません。
しかし、どれだけ正しく認識して接地工事を行っても、その後の接地線の選定を間違ってしまっては、求められる接地の性能を発揮することが出来ませんので、接地線の選定も重要だということを認識していただきたいのです。
接地線の選定が重要であることは、内線規定の中にも示されていますので多くの電気工事士さんは、この規定を確認して接地線の選定を行っておられると思います。
電気工事における内線規定は、適切な電気工事を行ううえでの大切な指針ですから、折に触れて必要な内容を確認することが大切です。
しかし、電気工事士さんの中には、幹線ケーブルの太さから、接地線の太さを選定してる方もおられるようで、細すぎる接地線を敷設している場合や、明らかに太すぎる場合なども見受けられます。
内線規定を確認しておれば、このようなことは無いのですが、
日々の現場作業に追われて確認を怠っておられるのか?
今までの経験で算出なさったのか?
その辺は、わかりませんが、太い場合には問題ありませんが、細すぎる場合は、先にも述べたような感電事故などにつながる危険もありますので、重大な欠陥だと言えるでしょう。
でも、実際のところ、一々分厚い内線規定を開いて接地線の確認を行うのも大変ですよね。
(>_<;)
そこで、簡単に接地線の太さを算出する計算を紹介しておきますので現場作業に活かしてください。
AT×0.052=接地線最小太さ
とても簡単な計算ですよね^^
この計算式についても内線規定に詳しく解説されていますので、内線規定を確認してください。
仮に、対象となるMCBが150ATだとすると、
150AT×0.052=7.8
となり、接地線の最小サイズは、8sq以上となります。
これだったら現場作業中でも簡単に計算して適切な接地線を選択することが出来ますよね。
^^
実際私は、この計算式で接地線を選択しています。
でも、「こんな計算をするのも面倒だ!」
という方もいらっしゃると思いますので、ざっと計算した早見表を掲載しておきますので、
参考にしてください。
接地線サイズ早見表
※上記の接地線は、最小サイズなので施工の際は内線規定を確認し、安全を考慮して選定してください。
安全を考えると、1サイズ、2サイズ上のものにするのが望ましいと思いますが、工事代金との兼ね合いもあるので、むやみに太いケーブルにすることも…です…
その辺は、みなさんのご判断にお任せします。
簡単にアース線を選定できる計算式をご紹介いたしましたが、ご紹介した内容は多くの電気工事士が、承知してることだったと思いますので、まさに“釈迦に説法”というか“孔子に悟道”というのか、見飽きたものだったと思います。
ここからは、既定されている各接地工事に関する資料などをご紹介しておきますので、現場での接地工事の参考にしてください。
それではまず各接地工事基準についてご紹介しておきます。
接地工事に使用するケーブルの種類
接地工事の種類 | 接地ケーブルの種類 |
---|---|
A種接地工事 | 直径2.6mm以上の軟銅線又は、引張強さ1.04kN以上の金属線 |
B種接地工事 | 直径4mm以上の軟銅線又は、引張強さ2.46kN以上の金属線
(高圧電路又は解釈第133条に規定する特別高圧架空電線路の電路と低圧電路とを変圧器により結合する場合は、引張強さ1.04kN以上の金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線) |
C種接地工事 D種接地工事 | 直径1.6mm以上の軟銅線又は、引張強さ0.39kN以上の金属線 |
上記の既定をふまえて現場で接地工事に使用するケーブルを選定するようにしてください。
使用電圧と接地工事種別
接地工事の種類 | 機械器具の使用電圧の区分 |
---|---|
A種接地工事 | 高圧 |
C種接地工事 | 低圧:300V以上 |
D種接地工事 | 低圧:300V以下 |
この基準が設計段階での接地選定に必要な基準ですから、ここは、頭に叩き込んでおいてください。
続いて、各種別の接地工事の詳細をご紹介しておきます。
A種接地工事を要する電気工作物
A種接地工事は、主に高圧機器を対象とした接地工事で、
詳細は、下記で示した内容になります。
- 高圧または特別高圧の機器の鉄製架台および金属製外箱。
ただし、高圧の機器で人が触れるおそれがないように設置すれば省略することができる
- 高圧ケーブルを収める金属管、ケーブルラック、金属製接続箱及びケーブルの被覆に使用する金属体。
- 特別高圧電路と高圧電路とを結合する変圧器の高圧側に設ける放電装置
- 高圧または特別高圧の電路に施設する避雷器
B種接地工事を要する電気工作物
B種接地工事は、トランスに施す接地工事で、
詳細は、下記で示した内容になります。
- 高圧と低圧とを結合する変圧器の低圧側中性線。
(ただし、低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、変圧器の構造または配電方式により変圧器の中性線に施工しにくい場合は、低圧側の一端子)
- 特別高圧と低圧とを結合する変圧器の低圧側の中性線(接地抵抗値10Ω以下)
ただし、低圧側の使用電圧が300V以下なら1.による
- 高圧または特別高圧と低圧とを結合する変圧器の
高圧または特別高圧巻線との間の金属製混触防止板
一般の電気工事の中では、あまり扱うことがないB種接地ですが、知識としは必要だと思います。
C種接地工事を要する電気工作物
C種接地工事は、300Vを超える機器に施す接地工事で、太陽光発電設備、400V回路電動機などの接地に施します。
詳細は、下記で示した内容になります。
- 使用電圧が300Vを超える低圧用機器の鉄製架台及び金属製外箱。
(ただし、使用電圧が300Vを超える低圧機器で人が触れるおそれがないように設置した場合は、この限りではない)
- 金属管、金属製可とう電線管、金属ダクト、バスダクト等の配線による使用電圧が300Vを超える低圧配線の管およびダクト
- 使用電圧が300Vを超える低圧の母線等を支持する金属製部分
- 使用電圧が300Vを超える低圧ケーブル配線による電線路のケーブルを収める金属管、ケーブルの防護装置の金属製部分、ケーブルラック、金属製接続箱、ケーブルの金属被覆など
- 金属管、合成樹脂管、金属製可とう電線管、金属ダクト、金属線ぴ等の配線による低圧配線と弱電流電線を堅ろうな隔壁を設けて収める場合の電線保護物の金属製部分(金属ダクト内のセパレータはC種接地工事、ケーブルラックのセパレータはC種接地工事は不要でD種接地工事でよい)
- 使用電圧が300Vを超える低圧の合成樹脂管配線に使用する金属製ボックス等
- 使用電圧が300Vを超える低圧回路に用いる低圧用SPD
D種接地工事を要する電気工作物
D種接地工事を施す必要があるのは、次の場合です。
- 使用電圧300V以下の機器の鉄台及び金属製外箱
(ただし、使用電圧300V以下の低圧機器で人が触れるおそれがないように設置した場合は、この限りではない)
- 外灯の金属部分
- 使用電圧300V以下の金属管、金属製可とう電線管、金属ダクト、ライティングダクト等の配線
(合成樹脂等の絶縁物で金属部分を被覆したダクトを使用した場合は除く。)
バスダクト、金属線ぴ配線に使用する管、ダクト、線ぴ、その付属品、300V以下のケーブル配線に使用するケーブル防護装置の金属部分、金属製接続箱、ケーブルラック、ケーブルの金属被覆など - 使用電圧300V以下の合成樹脂管配線に使用する金属製ボックス及び粉じん防爆型フレシクブルフィッチング
- 使用電圧300V以下の母線等を支持する金属製の部分
- 高圧地中電線路に接続する金属製外箱
- 地中配線を収める金属製の暗きょ、管及び管路(地上立上り部を含む)、金属製電線接続箱並びに地中ケーブルの金属被覆等
- 低圧または高圧架空配線にケーブルを使用し、これをちょう架する場合のちょう架用線及びケーブルの被覆に使用する金属体。
ただし、低圧架空配線にケーブルを使用する場合において、ちょう架用線に絶縁電線またはこれと同等以上の絶縁効力のあるものを使用する場合は、ちょう架用線の接地を省略することができる
- 使用電圧300V以下の計器用変成器の鉄心。
ただし、外箱のない計器用変成器がゴム、合成樹脂等の絶縁物で被覆されたものは、この限りではない
- 使用電圧が300V以下の低圧回路に用いる低圧用SPD
- 高圧計器用変成器の二次側電路
D種接地工事省略要件
D種接地工事を施す電気工作物のうち、省略できるのは以下の場合です。
- 屋内配線の使用電圧が直流300Vまたは、交流対地電圧150V以下で、
簡易接触防護措置を施す場合または乾燥した場所で以下のいすれかの場合
- 長さ8m以下の金属管及び金属線ぴを施設するとき
(2種金属線ぴ内に接続箇所を設ける場合を除く。)
- 長さ8m以下のケーブル防護装置の金属部分及びケーブルラックを施設する場合
- 長さ8m以下の金属管及び金属線ぴを施設するとき
- 使用電圧が300V以下の合成樹脂管配線に使用する金属製ボックス及び粉じん防爆型フレキシブルフィッチングで、次のいずれかのとき
- 乾燥した場所に施設したとき
- 屋内配線で使用電圧が直流300Vまたは交流対地電圧150V以下の場合において、
簡易接触防護措置を施すとき
- 使用電圧が300V以下で、下記のいすれかの場合
- 4m以下の金属管を乾燥した場所に施設するとき
- 4m以下の金属製可とう電線管及び金属線ぴを施設するとき
(2種金属線ぴ内に接続箇所を設ける場合を除く。)
- 長さ4m以下のケーブルの防護装置の金属製部分およびケーブルラックを施設するとき
- 使用電圧が直流300V以下または、対地電圧が交流150V以下の機器を乾燥した場所に施設する場合
- 対地電圧が150V以下で長さ4m以下のライティングダクトを施設する場合
- 地中配線を収める金属製の暗きょ、管および管路(地上立上り部を含む)
金属製の電線接続箱および地中ケーブルの金属被覆でかつ、防食措置を施した部分
- マンホールまたはハンドホール内の低圧ケーブル用金属製支持材を施す場合
D種接地工事の適応範囲は、建物全体に及び、最終的には電化製品にまで及ぶもので、日頃の生活に不可欠な電気設備であることが確認できます。
次は、接地抵抗計の測定方法についてお話いたします。

電気工事の基礎
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