【確定申告】避けては通れない電気工事業者の納税手続き

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晴れて独立開業して電気工事業者として仕事を始められたみなさんに共通するのが、納税です。
そのために行うのが、年度末の確定申告なのですが、多くの方が会社勤めからの独立だと思いますので、これまでは源泉徴収という形で納税されていたと思います。
しかし、これからは、ご自身でその年度内の売り上げや必要経費などを計算して、正確に税務署に申告しなくてはなりません。
そして、期日までに所得税、事業税、消費税などを納めなくてはなりません。


電気工事業者として独立開業したその日から、みなさん経営者なのですから、事業に関わる確定申告が義務付けられます。


確定申告を正しく理解し、適正に行う義務があることをまず理解する必要がございますので、簡単ではありますが、少し書かせていただきますので、参考にしていただければ幸いです。

確定申告に必要な税務署への届出について

独立して電気工事業者として開業したその日から、税務署に新規事業者として認識され確定申告が必要になったということですので、開業すると同時に管轄税務署への開業届の提出が必須です。


開業届の提出と申告方法の選択

電気工事業者としての開業手続きを進めるのと同時に行うのが、管轄税務署への開業届です。
文字通り、税務署の窓口で事業を開始した旨の届出を行うのですが、この時同時に確定申告の方法について聞かれます。
その内容は以下のようなものです。

  • 事業内容(電気工事業)
  • 開業日
  • 屋号(ある場合)
  • 帳簿記帳方法(単式簿記:複式簿記:会計ソフト利用など)
  • 確定申告方法(青色申告:白色申告)
  • 所得税関連の届出(青色申告承認申請書などを出すかどうか)

これらの内容について、事業開始届とともに、届出なくてはなりませんので、事前にどうするのか考えておくことをおすすめいたします。


このほかに「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」についてどうするのか聞かれることもあります。

  • インボイス(適格請求書発行事業者)に登録する予定はあるか
  • 取引先が法人かどうか(BtoB(企業同士の取引)かBtoC(企業と一般消費者の取引))
  • 消費税課税事業者になる可能性があるか

インボイスに関しましては、その場で即答する必要はありませんので、もし税務署で聞かれても、
「今はまだ未定です。」や「今後検討します。」といった回答で大丈夫です。


しかし、現実問題として、電気工事業者として取引するのは、ほぼすべてがインボイス登録企業なので、当然のようにインボイス登録業者であることが求められますので、請負契約を交わす前に結論を出す必要があるのが現実です。
ご存じのように、インボイス登録業者でなければ、相手方が消費税分の転嫁ができないので、事実上取引を断られるので、選択肢が無いといった方が正しいでしょう。


青色申告と白色申告のメリットとデメリット

確定申告の方法として「青色申告」と「白色申告」がございますが、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、申告方法を決める必要があるので、簡単にそれぞれのメリットとデメリットを書き出してみましょう。


青色申告のメリットとデメリット

青色申告には大きなメリットがございますので、多くの方が青色申告で確定申告をされています。


<青色申告のメリット>

青色申告で一番メリットを感じるのは、最大65万円の特別控除でしょう。
そのほかにも「専従者控除」を利用できるのも大きなメリットの一つです。
そして、社会的信用も上がって、事業融資の面で有利になったり、事業取引でも信用度が上がって成立しやすくなるなど、事業展開上メリットが多くあります。
青色申告特別控除の詳しい内容と減価償却の計算方法につきましては国税庁の下記ページをご覧ください。


リンク指示矢印の画像です。No.2072 青色申告特別控除
リンク指示矢印の画像です。No.2106 減価償却の計算方法について


<青色申告のデメリット>

  • 「青色申告承認申請書」を提出し審査を受けなくてはならない
  • 複式簿記の知識が必要
  • 提出書類が多く煩雑(青色申告決算書・複式簿記帳簿・各種明細書)

複式での記帳が求められるので、記帳ミスや計算ミスが起こりやすく、慣れないと日々の記帳が負担に感じます。
それに伴い、記帳が不十分だと、年間65万円の控除が受けられず、10万円に減額されることがあります。
また、e-taxを使わないと減額の対象になるので、確定申告には、e-taxの利用をおすすめします。


青色申告にはメリットもたくさんございますが、その代わりというのは語弊があるかもしれませんが、面倒なことも少なからずあります。


それらも開業届を提出するときに、会計ソフトを利用するようにすることで、記帳や確定申告時の煩わしさから開放してくれるので、今ではさほど大きなデメリットともいえませんので、メリットの大きな青色申告をおすすめします。
会計ソフトで有名な弥生会計ソフトをご紹介しておきます。

リンク指示矢印の画像です。やよいの青色申告オンライン


白色申告のメリットとデメリット

白色申告は、電気工事業者には、全くメリットのない申告方法だと思いますので、おすすめはいたしませんが、
少ないメリットとデメリットをご紹介いたします。


<白色申告のメリット>

  • 手続きがシンプルで始めやすい
  • 帳簿要件がゆるく、簡易帳簿でも対応できる

    ※ただし、事業所得(フリーランス・個人事業主などは記帳義務がある)
  • 青色申告のように事前承認の必要がない
  • 帳簿や書類作成の手間が少なく確定申告の負担が軽い

簡単ですぐにでもはじめられるのが、最大のメリットで、そのほかには、帳簿が比較的簡単なので、専門的な簿記の知識がなくても、簡単な家計簿程度の記帳でも対応できます。
また、確定申告に必要な書類が少ないのもメリットです。


<白色申告のデメリット>

  • 特別控除がない
  • 赤字の繰越ができない
    (赤字でも次年度以降に繰り越して相殺できない)
  • 「専従者控除」がない
  • 青色申告者と同じ収入でも税負担が重くなる傾向にある
  • 簡易帳簿なので社会的信用度が低くなる

メリット、デメリットをご紹介しましたが、どちらかといえば、デメリットの方が多いように感じますし、以降の事業展開を考えたときには、事業資金の確保などで大きなハンデになる可能性が極めて高いと考えられます。
白色申告にも弥生の会計ソフトがおすすめです。
やよいの白色申告オンライン
こちらは、ずっと無料です。


インボイス制度(適格請求書等保存方式)について

2023年10月に導入されたインボイス制度ですが、簡単にいうと
「消費税の仕入税額控除を正しく行うための新しいルール」ということです。


インボイス制度(適格請求書等保存方式)で必要となる条件は次のようなものです。

  1. 適格請求書発行事業者の登録制度
    税務署へ申請し「適格請求書発行事業者」としての登録が必要。
  2. 登録番号の記載が必要
    適格請求書には登録番号、適用税率、税率ごとの消費税額の記載する必要がある。
  3. 適格請求書(インボイス)の保存:要件を満たした請求書・領収書を保存することで、消費税の仕入税額控除を受けられる。
  4. 仕入税額控除への影響:買い手は、適格請求書の保存がなければ仕入税額控除を受けられない。
  5. 免税事業者への影響:免税事業者は適格請求書を発行できないため、取引先から登録を求められる。
  6. 経理・事務負担が増える:請求書の記載内容の確認や保存、消費税額の管理など、事務作業が増加する。

適格請求書発行事業者となるとこれらの条件をクリアする必要があります。
国税庁のお題目では、
「消費税の適正な課税を目的としている。」としていますが、早い話、
「これまで免税業者だったものもほぼ強制的に消費税を徴収するぞ!」という国税庁の意思表示だという理解で間違いないと私は感じています。


インボイス制度による厳密な消費税の扱い

インボイス制度(適格請求書等保存方式)導入に伴い、私たち電気工事業者も好むと好まざるとに関わらず、インボイス発行事業者登録がほぼ必須となります。


これまでは、売上高1,000万円以下の事業者は免税業者として消費税の納付義務はありませんでしたが、インボイス発行事業者登録を行うと、その時点で課税事業者となり、消費税の申告が必要で、納税義務が生じます。


本来なら免税業者だったものに対して、事実上の課税業者への移行を強制するようなもので、実際の取引の中では、建設会社や元請け業者から
「インボイス発行事業者登録されていないのなら取引を差し控える。」
と言われることがほとんどで、建前上は免税業者のままでも問題ないとなっていますが、実際の取引の中で、取引先から登録を求められ、インボイス発行事業者登録をせざるを得なくなるので、半ば強制的に課税業者にされてしまいます。


そして日々の事務作業が確実に増え、普段の業務を圧迫することに繋がります。
具体的には、届いた請求書や受け取った領収書などにインボイスに必要な要件を全て満たしているか確認しなくてはならないので、取扱量が多くなればなるほどその作業量は膨大になるので、そのための人員配置をするか、新たに会計システムを導入しなくてはならず、無駄な経費が増えてしまいます。


しかし、先にもご紹介したように、登録業者でなければ事実上仕事を受注できないということになるので、登録せざるを得ないのが実情です。


帳簿の記帳と保管について

青色申告、白色申告、インボイスについてご紹介しましたが、いずれにも共通するのが帳簿への記載です。
青色申告では、基本複式簿記で記帳しなくてはならず、「資産、負債、純資産、収益、諸費用」等細かく勘定科目を区切って「貸方、借方」で入りと出を厳格に管理しなくてはなりません。


白色申告では、青色申告で行う複式簿記ではなく、簡単な家計簿のような単式簿記で大丈夫です。


そしてインボイス制度(適格請求書等保存方式)による消費税も厳格に帳簿記載しなくてはなりません。


帳簿の保管と保存期間について

各帳簿の保管に関して、保存期間が決められています。
その期間内は、必要な帳簿を保管して国税庁の調査等の際には、全て閲覧できるようにしておかなくてはなりません。

  • 青色申告に必要な帳簿一式保管期間:原則7年
    仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳等の帳簿、決算関係書類、請求書・領収書など
  • 白色申告に必要な帳簿一式保管期間:原則5年だが7年の場合もある。
    収入・必要経費記載帳簿、請求書・領収書など
  • 消費税関連帳簿の保管期間:7年
    帳簿、請求書・適格請求書(インボイス)、領収書など


※将来法人化した場合
法人税関連では、会計帳簿、決算書、請求書・領収書などを原則7年保管するとなっていますが、会社法上は帳簿等10年保存が必要なものがあるので、注意してください。


青色申告(個人事業主)の主な保存書類について

一例として個人事業主で青色申告者の主な保存書類をご紹介いたします。


【帳簿】

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 固定資産台帳


【書類】

  • 請求書
  • 領収書
  • 納品書
  • 見積書
  • 契約書
  • 銀行通帳
  • クレジットカード利用明細
  • 決算書類

経費関係の帳簿も一緒に保存しておくことをおすすめいたします。


インボイスに必要な保存書類

インボイス制度では、帳簿とインボイス(適格請求書)の保存が重要になります。


インボイスに必要な帳簿

【帳簿】

  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 取引金額
  • 取引先の氏名・名称
  • 軽減税率の対象である場合はその旨を記載する


【インボイス(適格請求書)等】

  • 適格請求書
  • レシート等適格簡易請求書
  • 修正インボイス
  • 電子受領インボイス(メール添付PDF等)


保存方法に関するポイント

インボイス(適格請求書)の保存方法は受け取る形式で保存方法が違ってきます。

  • 紙で受け取ったものは紙のまま保存できる。
  • デジタルデータで受け取ったものはデジタルデータで保存する。
  • 帳簿とインボイスの両方がそろっていることが、原則として仕入税額控除を受けるための要件です(一部例外あり)。
  • デジタルデータ保存では、日付・金額・取引先などで検索できるようにするなど、電子帳簿保存法の要件を満たす必要がある。



電気工事業者の確定申告のまとめ

電気工事業者のみならず、全ての事業者に共通するのが確定申告で、その後納税という流れになります。
確定申告は青色・白色申告があり、控除額の大きな青色申告を選ぶ業者が圧倒的です。


青色申告なら、複式簿記での記帳を条件に年間最大65万円の所得控除を受けることができます。
白色申告には、このようなメリットがないので、今では白色申告を選択される方は少数派です。


確定申告のほかに消費税に関する申告もあり、インボイス制度導入に伴い、事務作業が大幅に増加しています。
大企業では、独自の会計システムを構築して事務作業にかかる経費を削減していますが、小規模事業者や個人事業主では、システム構築に掛かる経費を計上することができないところも多く、膨大になった事務作業による経営圧迫に苦しんでいるところも少なくありません。


そこでご提案したいのが会計ソフトの導入です。
膨大な事務作業に割く人員のことを考えたら、市販のクラウド会計などを導入することをおすすめいたします。



ここからは少し恨み節です。


今回のインボイス制度は、建前上はこれまで通り免税事業者でも問題ないと書かれていますが、その内容は、ほぼ強制に近い内容になっていますし、実際問題として取引業者から登録を求められることがほとんどですので、事実上強制的な措置だと、個人的には感じています。


ガソリンの暫定税率が廃止になった分をこのような形で、補填することを考えたのでしょうが、明らかな増税だと多くの方が感じている事でしょう。


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第二種電気工事士
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