実践電気工事 (裸端子用圧着工具)

圧着工具

前回はリングスリーブ用のハンドプレスについてご紹介しました。
電気工事を行う上で、無くてはならない工具であることは、ご理解いただけたと思っています。

 

また適応範囲の計算方法や各リングスリーブの適応電線本数表なども活用していただければと思います。

 

さてここでは、分電盤やキューピクル、制御盤など、さまざまな機器への接続に不可欠な裸端子(通称:圧着端子)用のハンドプレスをご紹介します。

裸端子用ハンドプレス

引き込み幹線ケーブルや各送り幹線ケーブルなどの接続に裸端子はほぼ不可欠だといえるでしょう。
主幹ブレーカーやキューピクル内の接続ブレーカーなどのほとんどが、ネジ締めの接続方法であるため、裸端子をケーブルに圧着して接続します。

 

一部、家庭用分電盤などでは、ケーブルを直接差し込み、ネジ締めするタイプのブレーカーもありますが、ほとんどの場合、裸端子による接続と考えて差し支えないと思います。

 

この裸端子にも、R形端子とY形端子があり、その用途に応じて、適時選択して用います。

ブレーカー接続用RとY端子

R端子
(R端子)

Y端子
(Y端子)

主にR形端子は、建物の幹線ケーブルなど、電気容量の多いものに用いられ、Y形端子は、制御盤内など、電気容量の少ないものに用いられのが一般的です。

 

R形、Y形端子には、適応電線太さがあり、使用電線に応じて、裸端子を選び、その裸端子に適応するハンドプレスを選択し、圧着を行い各ブレーカーや端子台などに接続します。

 

このR形、Y形端子を接続する場合、その接続端子のネジの太さによって使用するものが違うのでこの点は、注意が必要です。
(例 : ケーブル14sq、接続端子ネジが6mmの場合、14-6と刻印されたものを選択する)

 

また、プールボックスなどで電線を接続する場合などには、
リングスリーブを用いて接続します。
そのリングスリーブにもB形(突合せ)とP形(重ね合せ)などがあり
接続方法に応じて、それぞれを選択して用います。

ケーブル接続用BとPスリーブ

Bスリーブ
(Bスリーブ)

Pスリーブ
(Pスリーブ)

この圧着が確実に行われなければ、接触不良などの原因となり、発熱や発火といった重大事故に至ることもあるので、使用材料の選定や工具の選定には特に注意してください。

 

電気工事の現場作業に不可欠な裸端子用ハンドプレスをご紹介しておきましょう。

 

裸端子、リングスリーブ用ハンドプレス
(適応サイズサイズ : 8・14・22・38sq) (適応サイズサイズ : 1.25・2・3.5・5.5sq)
裸端子用ハンドプレス 裸端子用ハンドプレス

これは、適応電線範囲が8~38sqの4サイズで、一般住宅の幹線接続などに多く用いられるタイプです。
一般住宅なら、これで十分だと思います。

これは、1.25~5.5sqと適応電線が細いタイプになります。
主に制御盤などの接続時などに用いられます。

大型裸端子用 圧着工具

裸端子用ハンドプレス

(適応サイズ:JIS 8・14・22・38・60・80sq)
一般住宅から小規模な工場などの電気工事に対応できます。
また、分電盤や配電盤などを組むときの接続電線加工にも便利です。

 

ご覧いただいて解るように、さまざまなタイプの工具があるので、みなさんが行う電気工事に応じて、最も適したものを選んで、的確な電気工事を心掛けてください。

 

ここで紹介したものの他に、油圧圧着工具や電動圧着工具、充電式圧着工具などがあります。
これらの工具は、大型施設や工場など電気容量が多く、使用される幹線ケーブルなどが大きい場合や、接続箇所が狭く作業範囲が取れない場合などには非常に便利ですが、いずれも高価な工具なので、必要なければ取り揃える必要はありません。

 

参考までに、これらの工具もご紹介しておきます。

ロブテックスAKH150S手動油圧圧着工具の画像リンクです。 手動油圧式圧着工具 使用範囲14~150sq
泉精器REC-Li200充電式油圧圧着工具の画像リンクです。 充電油圧式多機能工具
マクセルイズミ12GA分離式油圧圧着ヘッドの画像リンクです。 分離式油圧圧着ヘッド
マクセルイズミR14E-H電動油圧圧着用ポンプの画像リンクです。 電動(100V)油圧ポンプ

いかがでしょうか?
手動式、充電式、電動式それぞれを紹介しましたが、手動式の圧着工具でも7万円弱、電動式に至っては、ヘッドだけで15万円弱、電動油圧ポンプに至っては、27万円以上ととても高価です。

 

しかし、この中でも手動油圧式圧着工具くらいは持っておかないと、本当に小さな物件しか扱えなくなるので、みなさんが受注される電気工事もおのずと決まってきます。
折角のチャンスを逃してしまうことにもなりかねませんので、そこは、みなさんの判断で考えください。